異常気象が常態化し、特に梅雨どきから台風のシーズンにかけてゲリラ豪雨による洪水やがけ崩れ、土石流などによる被害が頻発しています。

静岡県では、がけ崩れや土砂の流出から県民の皆さんの命や財産を守るため「がけ条例」を制定し、がけに近接する危険な敷地に建築物を建築する場合には、さまざまな安全対策が定められています。

これからがけの近くに家を建てる予定のある方は、事前に内容を把握しておきましょう。

「がけ」のこわさを知っておこう

「崖(がけ)」とは、高さ2mを超える高岩盤以外の土質で、なとかつ30度を超える傾斜のある土地のことをいいます。

では、なぜがけは危険なのでしょうか。

その理由は、崩れる可能性があるからです。
ただし、崩れるおそれがあるかどうかは、次のような条件によって異なります。

①がけ部分の土の性質

土の種類は粒の大きさによって分類されますが、大きく分けて砂質と粘土質に分かれます。砂質の土は粒の隙間が少ないため含水率が低く、変形しにくい構造になっています。一方、粘土質の土は粘り気があって粒の隙間が多いため、圧力がかかると空隙内の水分や空気が外に出て変形しやすい性質があります。つまり、砂質の土はがけ崩れしにくく、粘土質の土はがけ崩れしやすいという特徴があります。

②土の締まり具合

例えば、自然の地盤を削ってできたがけを「切土」、人工的に土を盛り上げて作ったがけを「盛土」といいますが、両者では土の締まり具合が異なります。

「切土」は元の地盤を削ったものなので、全体的に均質で土地が締まっています。山地や丘陵地は元々地盤が良いため切土の部分も比較的良い地盤で、災害などの被害を受けにくいといわれています。一方、「盛土」は低い地盤や斜面に盛られた土でできているため土が崩れやすく、災害に弱いといわれています。

そのほか、がけの安全対策を計画する際には、地層の勾配や、出水、植生の状況等を十分に把握する必要があります。

「がけ条例」とは?

傾斜地に家を建てると、建物の土台が不安定になりやすいため、地震や水害などをきっかけに土砂崩れなどの被害にあい、建物が倒壊する恐れがあります。そこで、建物やそこに住まうご家族、そして近隣の人々の安全を守るために制定された規制が、「がけ条例」です。

「がけ条例」では、一定の高さ以上のがけの上または下に建物を建築する際に、さまざまな制限が設けられています。また、その内容は各都道府県によって異なります。

静岡県の「がけ条例」については、静岡県建築基準条例第10条について説明されている下記のPDFをご参考ください。

http://www.pref.shizuoka.jp/kenmin/km-340/documents/gaketoriatukai.pdf#search=%27%E9%9D%99%E5%B2%A1%E7%9C%8C+%E3%81%8C%E3%81%91%E6%9D%A1%E4%BE%8B%270

 

「がけ条例」に該当する条件とは?

静岡県で「がけ条例」の対象となるのは、次の2つの条件を満たす場合です。

①水平面からの勾配が 30 度を超える傾斜地である
②建物の位置とがけの下端からの水平距離が、がけの高さの2倍以内である

上記の2つにあてはまる場合は、がけ崩れに対する対策が必要です。

 

「がけ条例」に該当した場合はどうすればいいの?

具体的には、敷地内または隣接する敷地のがけの高さが2mを超えた場合、高さ×2m分以上がけから建物を離して建てるか、2mを超えるがけを安全な角度(30度)に削らなければなりません

あるいは、建築物の位置や規模、構造に応じて、擁壁などを設置しなければなりません。
ただし、がけが崩れた場合でも建物が安全な構造(鉄筋コンクリート造等)であれば、その必要はありません。

また、2mを超えたがけでも、擁壁や間知ブロックなどの工作物で施工されている場合は、建築士に安全性を認められれば対策の必要はありません。

一方、「がけ条例」に該当するがけの「上」に家を建てる場合にも、

①鉄筋コンクリート製の擁壁を設ける
②建造物の基礎を深く設ける

といった対策が必要です。

まとめ

自分の所有する土地や、購入を検討している土地ががけに隣接していたり、がけの上にあったりする場合、それが「がけ条例」に該当するかどうかを自己判断するのは難しいものです。まずは家づくりを依頼する住宅会社や工務店、あるいは市役所の建築指導課に相談することをおすすめします。

また、がけに面した土地は安く購入できる場合が多いですが、そこが「がけ条例」に抵触する場合は擁壁を設けたり、建物の構造を強化したりする必要があるため、かえって建築費用が高額になります。
土地を購入する前に、まずはお気軽に中村建設にご雑談ください!

中村建設では、「がけ」の近隣に家を建てた事例や擁壁の施工事例なども数多く経験しています。
また、土木の部門があるため、「がけ条例」における安全対策についてもプロとして的確な判断とアドバイスをご提供できます。

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