最近、国内で大小の地震が頻発しています。台風や洪水などの災害も多く、新築の際には建物の強度がいっそう重視されるようになりました。

「強い家」というと真っ先に頭に思い浮かぶのが「鉄骨造の家」ですが、鉄骨造には重量鉄骨と軽量鉄骨の2種類があり、それぞれに費用や強度が異なるので、どちらにするか迷われる方も多いようです。さらに、木造住宅という選択肢も捨てきれません。そこで、重量鉄骨造と軽量鉄骨造、さらには木造の住宅のそれぞれを比較してみました。

 重量鉄骨造と軽量鉄骨造の違い

重量鉄骨造と軽量鉄骨造は、骨組みの肉厚によって区別されます。

◎鉄骨の骨組みの肉厚が6mm未満であれば軽量鉄骨造

◎鉄骨の骨組みの肉厚が6mm以上であれば重量鉄骨造

 

同じ鉄骨造でも、この骨組みの厚さの違いが耐震性に大きく関わってきます。中村建設のモデルハウスを訪問される前に、他のメーカーさんを見学されたお客様から、「他社の営業さんは『軽量鉄骨造でも重量鉄骨造でも地震の強さは大して変わらないので、構造の価格が安い軽量鉄骨造がおすすめですよ。見た目も良いですし!』と言われました」という話をよく聞きます。

では、「構造の価格が安い」とはどういうことなのでしょうか。軽量鉄骨造と重量鉄骨造は本当に地震に対する強さがあまり変わらないのでしょうか。歴然とした違いを詳しくご説明していきます。

 

■軽量鉄骨造と重量鉄骨造は何が違うの?

上の図にも示した通り、「軽量鉄骨造」は柱の大きさが100㎜程度で、肉厚6㎜未満の鉄骨の骨組み(多くの住宅メーカーさんは3㎜~4㎜が基本です)です。一方、「重量鉄骨造」は柱の大きさが250㎜~300㎜程度で、肉厚6㎜以上の鉄骨の骨組み(中村建設では9㎜~14㎜が基本)です。

一般的に大手メーカーさんの軽量鉄骨造の柱は3.2mm~4.5mmが多く、軽量鉄骨造の6mm未満の基準ラインよりもはるかに薄いものが採用されています。重量鉄骨造の他の住宅メーカーさんでも骨組み6mmのものを採用しているそうですが、基準のギリギリのラインの6mmですと、軽量鉄骨造と同じくらいの骨組みが薄いことになります。

柱や梁の構造材を重量鉄骨造と呼べるギリギリまで薄くすることで、構造の費用を抑えることができ、建物本体を安くできます。ただし、骨組みを薄くするということは、それと同時に耐震性も劣っているということにお気づきでしょうか?建物のコストを抑えるならば骨組みを薄くすれば可能ですが、骨組みを薄くすると、地震の力に対しても弱くなります。

中村建設でご提案する重量鉄骨造住宅は、骨組み9mm~12mmを採用しています。重量鉄骨と呼ばれる基準よりもさらに厚い骨組みにすることで、さらに丈夫な骨組みを実現しました。もちろん、軽量鉄骨造に比べて重量鉄骨造は構造材を多く使用しているため、費用はその分高くなります。良い材料を使っていれば、建物本体のコストが上がるのは当然のことですよね。

中村建設では地震に強い安心・安全な重量鉄骨造の建物をお客様に提案することを第一としており、価格のために骨組みを薄くするといったご提案は一切いたしません。お客様から軽量鉄骨造で構造のコストを抑えた分、内装をグレードアップしたいというご要望も稀にありますが、叶えることはできません。

 

■軽量鉄骨と重量鉄骨で、骨組み以外に異なる点とは?

軽量鉄骨と重量鉄骨では柱や梁以外に「基礎」の部分も大きな違いが出ます。その理由は、骨組みが厚いと建物が重くなるため、基礎を頑丈につくる必要があるからです。次の写真は、当社の重量鉄骨造の基礎の写真です。

当社では、木造や軽量鉄骨造の基礎の倍の深さでコンクリートを打っています。基礎が頑丈な建物は、地震の揺れに耐える力が働きます。また、地盤の悪い地域では必ず地盤改良工事を行い、地盤の補強をします。

地盤補強では、支持層と呼ばれる堅い地層まで地盤補強杭を打つことで、杭が建物を支えてくれます。補強杭は柱の真下部分に施工して建物を支えて地震から建物を守ります。建物の基礎内部の骨組み部分にも径の太い鉄筋を配筋してあり、見えない部分も頑丈に作っています。

上の写真のように、「補強杭」と「基礎鉄筋」も緊結しています。そのため、津波で建物の上物だけ流されることはありません。

 

耐震性なら断然「重量鉄骨造」!

このように、「鉄骨造=地震に強い」という先入観から、軽量鉄骨造も地震に強いと考えられている方がいらっしゃいますが、地震に強いのは「重量鉄骨造」に限ります。骨組みの基本サイズだけを比較しても、重量鉄骨と軽量鉄骨とでは、なんと3倍以上の差があります。実はこの「厚み」こそが、耐震性の要なのです。地震力が建物に伝わった時、薄い骨組みの軽量鉄骨造では折れてしまったり、座屈(荷重によって建物の構造がたわむこと)してしまったりします。

住宅メーカーさんによっては、「座屈しないように柱間に制振ダンパーを設けました!」と謳っているところもあります。しかし、制振ダンパーのメーカーさんから言わせると、鉄骨の柱にダンパーを設置しても揺れの仕組みの点から考えた場合には効果は期待できないとの回答がありました。

そもそも、座屈しないようにダンパーを付けるよりも、単純に骨組みを厚くした方が構造的に強くなります。骨組みを厚くすると構造費が高くなることから、ダンパーを採用して骨組みの費用を抑えているようにも考えられます。そこで中村建設では、見えない構造の部分をしっかりと作ることで安心安全な住まいをご提供しています。

 

 重量鉄骨造・軽量鉄骨造のメリット・デメリット

次に、重量鉄骨造と軽量鉄骨造のメリット・デメリットを比較してみましょう。

 

■軽量鉄骨造のメリット・デメリット

軽量鉄骨造のメリットは室内に柱型が出ないため、建物内が木造と変わらずスッキリ見えることです。また、骨組みの肉厚が薄いことで構造費を抑えることができます。さらに、重量鉄骨に比べて安く建てることができます。

一方、デメリットは耐震性の低さ・地震に弱いことです。メリットで挙げた通り、骨組みが小さく柱型が出ないということは、構造的に弱い骨組みとなります。また、柱が細いため、大空間を作ることができず、木造同様に建物内に柱を多く設ける必要が生じます。

ハウスメーカーさんに相談すると、
「2階建ての場合は、軽量鉄骨造の骨組みでも十分に地震に耐えることができるので、重量鉄骨まで頑丈な骨組みはいりません。そもそも重量鉄骨造と軽量鉄骨造の耐震性は大して変わりませんよ」と言われるケースもあるようです。

しかし、柱の大きさ・肉厚がこんなにも違っても本当に重量鉄骨造も軽量鉄骨造も大した差が無いのでしょうか。大きなビルやマンション、震災でも耐えた重量鉄骨造と、半壊・倒壊してしまった軽量鉄骨造は本当に同じくらいの強さなのでしょうか。

せっかく「地震に強い建物を建てたい」と考えて鉄骨造を選択したにもかかわらず、予算上で重量鉄骨造が難しいことから、知らない間に構造体が軽量鉄骨造に変更されていたというケースもあると聞きました。お客様は図面を見ただけでは、重量鉄骨造と軽量鉄骨造の区別がつきません。ただ、「地震に強い鉄骨造です!と」言われてしまうと「それなら大丈夫そうだ…」と思い込み、このような結果に至ることが多いようです。

 

■軽量鉄骨造は暑さに弱い

軽量鉄骨造には、他にも見逃せないウィークポイントがあります。最近は異常気象で夏場の外気温度がとても高い日がありますが、建物は外気にさらされているため、暑さに強い構造であることが必要とされます。鉄は、熱が加わると曲がってしまいます。肉厚が薄ければ薄いほど熱が伝わりやすく、曲がりやすいのです。

前述のように、軽量鉄骨造の柱は3~4㎜と薄いものを多く利用しています。いくら外壁材が耐熱仕様になっていたとしても、何時間も暑さにさらされた状態で、本当に耐えることができるのでしょうか。

もし、熱で知らないうちに柱が曲がってしまい、その状態の時に地震が来たら…柱が曲がっていてダンパーが効いていなかったら…本当に地震に耐えることができるのでしょうか。

重量鉄骨造も同じ鉄ですが、肉厚が厚いため外気温度の上昇くらいでは曲がることはありません。もし、重量鉄骨造の柱が曲がるほどの想定外の外気温になった場合には、軽量鉄骨造の建物はグニャグニャに曲がっていると思います。

 

■重量鉄骨造住宅のメリット・デメリットは?

今度は、重量鉄骨造のメリット・デメリットを検証してみましょう。

重量鉄骨造のメリットは、軽量鉄骨造と比べて耐震性が高いことです。丈夫な骨組みを採用しているため、柱と柱の間を広くとることができ、大空間を作ることが可能です。

一方、重量鉄骨造のデメリットは、建物の四隅にある柱が柱型として室内に出てきてしまうことです。丈夫な太い骨組みだからこそ、室内に骨組みが出っ張って見えてしまいます。

しかし、間取りを工夫して柱型を収納の中に隠したり、外部の袖壁の中に隠したりすることで、柱型の問題は解消することができます。

また、重量鉄骨は太い柱や梁・丈夫な基礎を採用していることから、構造面にコストがかかる点もデメリットとして挙げられます。しかし、本当に地震に強い家を建てたいのであれば、構造面のコストを下げることはできないはずです。

 

コスパ+耐震性なら木造住宅という選択肢もアリ!

軽量鉄骨造は重量鉄骨造と比べて、構造体に使われている柱のサイズが細く、鉄骨も肉薄であるということは、前項で理解いただけたかと思います。そこで、今度は軽量鉄骨造の柱と木造の柱を比較してみましょう。

・軽量鉄骨造の柱:100㎜程度

・木造の柱(4寸柱):120㎜

両者のサイズを比較すると、軽量鉄骨造よりも木造の柱の方が大きいことは一目瞭然です。柱が大きいということは、建物を支える力にも影響します。

また、木造は制振ダンパーとの相性も良く、地震力と建物の揺れの固有周期が同じになった時に発生する「共振」にも最大振幅を抑制することができます。つまり、軽量鉄骨造+ダンパーに比べて、木造+制振ダンパーの方が効果を十分に発揮できるのです。

しかし、木造+制振ダンパーの方が軽量鉄骨造に比べて制振効果を発揮でき、コストパフォーマンスに優れているにも関わらず、木造となるとどうしても「軽量鉄骨造より弱い」というイメージが先行しがちです。

イメージや先入観だけではなく、機能比較の観点から、「軽量鉄骨造+制振ダンパー」よりも「木造+制振ダンパー」の組み合わせの方が地震の揺れに強いということを知っておきましょう。

また、木造の場合は、定期的に防蟻処理(シロアリ防止)を行うことで、構造体を守ることができます。シロアリの被害に遭う前に、薬の効力が切れないよう定期的にメンテナンスをしてあげるだけで、建物の性能を維持できるのです。

木造に限らず、他の構造でも定期的なメンテナンスは必要です。軽量鉄骨造よりも木造+制振ダンパーで耐震性を確保し、建物のコストを抑えることでメンテナンス費用に余裕をみておき、計画的に建物をお手入れしてあげることが重要です。

 

まとめ

「鉄骨造=地震に強い」という先入観から、軽量鉄骨造も地震に強いと考えられている方がいらっしゃいますが、地震に強いのは「重量鉄骨造」に限ります。骨組みの基本サイズだけを比較しても、重量鉄骨と軽量鉄骨とでは、なんと3倍以上の差があります実はこの「厚み」こそが耐震性の要なのです。

「柱の厚さが違っても、同じ鉄骨造なのだから耐震性には対して変わりない!」とぼんやりしたイメージで、何千万の建物を買うのは無謀すぎると思います。せっかく何十年も住宅ローンを組んで家を建てるなら、基本性能をしっかり熟知し、納得した形で建てることをおすすめします。

中村建設は、重量鉄骨造の家をハウスメーカーさんには絶対に負けない価格でご提供いたします。これまでの実績で、同条件の重量鉄骨造の家の価格をハウスメーカーさんと比較したところ、700万円以上安くご提案することが出来ました地震に強い重量鉄骨造でご検討の方はぜひ、当社でも比較・検討ください。

また、コスパと耐震性で軽量鉄骨造を選ぼうという場合には、木造+制振装置の家も検討してはいかがでしょうか。「軽量鉄骨造+制振ダンパー」よりも「木造+制振ダンパー」の方が地震の揺れに強いです。なおかつ、木造住宅は軽量鉄骨造よりコストパフォーマンスにも優れています中村建設では、重量鉄骨造と同様に、木造+制振装置の家もご提供していますので、ぜひお気軽にご相談ください。

 

Writer>>>中村建設(株)住宅事業部 家づくりアドバイザー 中村真由美

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