鉄は木よりも熱伝導率が144倍も高いため、外気温の影響を受けやすいという特徴があることから、重量鉄骨造の住宅は木造住宅よりも断熱性能に劣るといわれています。

さらに、鉄は温まると膨張し、冷やすと縮まる特性があるため、建物に隙間が生じやすく、気密性についても高気密・高断熱の木造住宅ほど高い数値は得られないというのも事実です。

 

しかし、当社で重量鉄骨造の住宅を建てたオーナー様に、これまで夏の暑さや冬の寒さについてのお困りごとのご相談を受けたケースは一度もありません。それは、当社が家づくりの段階で、重量鉄骨住宅のメリット・デメリットを正直に、しっかりとお伝えしているからです。

また、ご計画の段階でお施主様にしっかりとヒアリングを行い、「暑さ・寒さ対策をしっかりと行いたい」「断熱性能をできるだけ高めたい」というご要望がある場合には、建物に断熱材を充填したり、断熱性や日射取得率の高いサッシを利用したりして、建物の性能を高める対策をとっているからです。

そこで今回は、当社が設計・施工を行った重量鉄骨造の住宅のオーナー様に、住まいの快適性についてお話を伺いました。

お客様の声:浜松市中央区S様邸

浜松市中央区S様邸の外観

以前、祖父母様が建てた平屋の家で暮らされていたS様ご一家。お子様が生まれてから家が手狭になったため、建替えを計画されました。新居は、延床約37.6坪の重量鉄骨造の2階建て。太陽光発電と貯水タンクを備えた災害に強い家です。

 

【住まいの性能に対するご感想】

―新居で生活されてから、暑い・寒いといった温熱環境についてのご感想は?

ご主人 旧宅は冬に隙間風が吹いて非常に寒かったため、それと比較すると断然過ごしやすいですね。冬は暖かいし、夏は暑くないので、まずまず満足しています。窓から冷気が降りてくる感じは少ししますが、それは仕方のないことだと思うし、なんの不満もなく快適に過ごしています。

奥様 以前の家とは段違いに快適です。冬は暖かく、南の窓から陽射しが注いで、暖かさが夕方まで持続します。だから12月の初旬でも暖房を使わずに半袖で過ごしています。窓からの冷気はガラスと金属の性質上仕方がないけれど、私は感じないレベルなので、なんの問題もありません。

 

―冬はどのような暖房をどのように利用されていますか?

ご主人 最近は夏の暑さが厳しいので、夏季は冷房をずっと付けています。酷暑の日には夜間もずっと冷房を使うことがありますね。冬もエアコンがメインですが、床暖房とヒーターも用意しています。床暖房を入れると足元からぽかぽかと暖かく、子供を寝かしつけながら一緒に寝てしまうこともあるほど気持ちがいいですね。エアコンと床暖房を両方つけることはなく、どちらかで間に合っています。

奥様 私たちが床暖房を導入したきっかけは、中村建設さんの完成見学会をに参加したとき、そのお宅に床暖房がついていたからです。その日がとても寒い日だったので、床暖房の暖かさを余計に実感できました。冬は空気が乾燥するので、エアコンを使わず、できるだけ床暖房を使いたい気持ちはあるんですが、床暖房を使うと気持ちが良すぎて、そこから動けなくなってしまうのが悩みです(笑)。

 

―冬場の水回りスペースは寒さを感じますか?

ご主人 ユニットバスに浴室暖房のオプションをつけたので、寒くて着替えが辛いということは全くないです。

奥様 私は岐阜県出身なのですが、実家は脱衣室で服を脱ぐときすごく寒かったんです。浴室内も床がタイルだったので、素足の感触が冷たくて、寒くて震えながら入浴した覚えがあります。浜松に引っ越して旧宅に住んでいた頃は、それよりも随分マシになりましたが、まだ寒いには寒かったんです。でも、新居では浴室暖房を入れなくても十分に暖かくて、お風呂に入る時に寒いから洋服を脱ぎたくないと感じたことは一度もありません。だから、私の人生において、暮らしの中で感じる寒さがだんだんと解消されてきた感じです(笑)。

 

 

―結露はありますか?

ご主人 これまでに結露したことは一度もありません。実は私たちは、冬に室内が乾燥するのが気になるので、加湿器は良いものを購入したんです。その説明書に「木造に比べると、鉄骨造は加湿器1台で広い範囲にわたって加湿効果が期待できる」と書いてあったのですが、確かに広いスペースにわたって加湿できている感じがするし、建物の気密性が高いことを感じます。

 

―住まいの省エネ性はいかがですか?

ご主人 太陽光発電を導入したので、売電のおかげで以前よりも光熱費はかかりません。断熱効果が高いせいか、夏に夜間も冷房をつけっぱなしにすることがある割には、光熱費自体も安い気がします。

 

お客様の声:浜松市中央区Y様邸

浜松市中央区Y様邸の外観

お子様が小学校に入学されるタイミングでマイホームを計画し、郊外の広い敷地に新居を構えたY様ご一家。新居は重量鉄骨造の平屋で、延床約33坪。建物の中央に小上がりの和室を配置し、室内全体を回遊できる動線を確保して、家事ラクで快適な平屋暮らしが実現しました。

 

【住まいの性能に対するご感想】

―新居で生活されてから、暑い・寒いといった温熱環境についてのご感想は?

ご主人 重量鉄骨造は木造に比べて夏の暑さ・冬の寒さを感じやすいといわれていますが、実際に住んでみると、木造住宅とあまり変わりがないように感じますね。特に暑くも寒くもなく、快適です。むしろ、木造住宅は最近、高気密・高断熱をうたいすぎているような印象を受けますね。

 

―冬はどのような暖房をどのように利用されていますか?

ご主人 夏も冬もエアコンだけを利用しています。それだけで十分に快適に過ごせているので、暑さ・寒さに関してはなんの問題もありません。LDKはエアコンだけで全体が暖かくなるし、寒さを感じることはないですね。家の前の道路が凍結したときも、室内は普段と変わらない室温でした。エアコンは寝室にもついていますが、夏に冷房をつける程度で、冬はほとんど使いません。

 

―冬場の水回りスペースは寒さを感じますか?

ご主人 LDKと同様に、寒くて洋服を脱ぐのに戸惑うようなことは全くありません。

 

―結露はありますか?

ご主人 特に気になったことはないです。

 

―住まいの省エネ性はいかがですか?

ご主人 オール電化にしたので、以前の暮らしとの違いはよくわかりませんが、光熱費は普通だと思いますね。この家で暮らし始めて1年半になりますが、特に光熱費が高いと感じたことはありません。
また、テラスに軒が出ていて、夏は直射日光を遮り、窓に太陽熱が直接当たらないので、部屋の中に暑さが伝わってきにくいんです。一方、冬は斜めの陽射しを家の奥まで入れることができます。こうして日射遮蔽や日射取得がうまくいっていることも、省エネにつながっていると思います。

 

お客様の声:浜松市中央区H様邸

浜松市中央区Y様邸の外観

閑静な住宅街に、延床約37.6坪の新居を建設されたY様。新居は重量鉄骨造のビルトインガレージ付きのボックス型の2階建てで、スタイリッシュなデザインがインパクトを放ちます。重量鉄骨造を選んだ理由は、地震に強い家を建てたかったのと、スパンを広く取れることに魅力を感じたから。重量鉄骨造のメリットを活かした、開放的な吹き抜けと大開口のLDK空間が自慢です。

 

【住まいの性能に対するご感想】

―新居で生活されてから、暑い・寒いといった温熱環境についてのご感想は?

ご主人 重量鉄骨造だからといって、夏は暑い・冬は寒いといったことは感じません。それよりも、地震に強いという安心感から生まれる居心地の良さの方が大きいですね。リビングが吹き抜けなので、階段の上り下りをしているときに上下階の寒暖差を多少感じることはあります。でも、日常生活は1階がメインなので、特に支障はありません。家族が増えて、2階の子供部屋を使うようになったら、それなりに暖かくなるんじゃないかな。

 

―冬はどのような暖房をどのように利用されていますか?

ご主人 LDKには床暖房を採用しましたが、あとはエアコンを使っています。1階のエアコンはLDKに1台設置。冬は基本的に朝起きたらエアコンをつけ、ほとんど一日中入れっぱなしにしておきます。夏も同様に1日中エアコンをつけておくことが多いです。それで暑さ・寒さ対策は十分な感じですね。

 

―冬場の水回りスペースは寒さを感じますか?

ご主人 特に寒さが気になったことはありません。

 

―結露はありますか?

ご主人 寝室は寝るときに加湿器を使うので、結露はどうしても生じてしまいますね。でも、1階では加湿器を使わないので、結露はほとんどみられません。

 

まとめ

当社で重量鉄骨造の家を建てた3人のお施主様に、住まいの性能についてのご感想を伺いましたが、どのお宅でも夏の暑さ・冬の寒さを負担に感じることなく、年中快適に過ごされているとのことでした。

また、どなたからも「住まいの快適性は木造住宅と大差ないのでは・・・」というお返事をいただきました。

昨今の地球の温熱環境を考えると、どんなに建物の気密・断熱性能を高めても、冷暖房をまったく使用しないで暮らすのは不可能です。もちろん住宅の性能を高めて省エネ性を向上させ、脱炭素化に貢献することは必要ですが、気密・断熱性能の数値だけにこだわって家づくりを検討するよりも、耐震性や耐久性など、全体的な品質を考慮して選ばれることをおすすめします。

 

Writer>>>中村建設(株)住宅事業部 家づくりアドバイザー 中村真由美

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